絵具を顔料から自作する方法

絵画の世界では常識的なことなのだと思いますが、「絵の具は顔料と呼ばれる粉から作ることが出来る」「顔料やその材料は普通に売られている」ということを絵画教室で初めて知りました。当時の僕にとって新鮮な驚きがあったことを覚えています。それから度々絵の具を作る方法を調べることがあったので、そこで得た知識についてまとめてみようと思います。

 

顔料について

顔料は色のついた粉です。水や油に溶け出さない物質を使用します。例えば土であったり、鉱物であったり。

よく使う色のバーントシェンナやローシェンナは中世のシエナ共和国支配下の土地から産出された土を使用していたことを名前の由来に持っていたりとかするそうです。また鮮やかな青のウルトラマリンは希少なラピスラズリから作られていました(現在では人工合成でウルトラマリンを作る技術があるそうです)。このように案外天然な素材から作られている顔料もあったりします。

 

メディウムについて

絵を描く時は上記の顔料を絵を描く面に定着させる必要があります。この定着剤の役割を果たすのがメディウムと呼ばれるものです。実はこのメディウムが何かによって、水彩絵具、油絵具、テンペラ絵具、アクリル絵具、日本画絵具、アキーラに分かれます。

それぞれどんなメディウムを使うのか見てみましょう。主要な素材は下記表のようです。厳密には下記に加え他の素材を使う場面もあるかもしれません。

絵具の種類 メディウム
透明水彩 薄いアラビアゴム樹脂
不透明水彩 濃いアラビアゴム樹脂
油絵 ダンマル樹脂など
テンペラ 卵黄
アクリル アクリル樹脂
日本画
アキーラ アルキド樹脂

それではそれぞれのメディウムについて見ていきます。各種の調合の詳細は画材屋のホルベインのページで詳しく書いてありました。

 

水彩

下のようなメディウムが使われるようです。量で不透明か透明かを調整できると思います。

 

油絵

色々な調合方法があるようなのですが、ダンマル樹脂などを使うようです。今通っている教室では次を使用している人がいました。これをバインダーにポピーオイルやテレピンオイルで粘度を調整して使用するようです。

 

テンペラ

普通に売られている卵黄がメディウムです。乳化作用で固まるのだそうで、卵で定着するなんて驚きです。油を混ぜたりもするようです。調合方法は上で示したホルベインのページにあります。

 

アクリル

アクリルメディウムは種類が多くて実現したい性質に合わせてメディウムを選ぶ必要がありそうです。絵画教室ではテンペラは日本の風土ではカビが生えやすいので卵黄の代わりにこのアクリルメディウムで代替したりしました。 下は老舗クサカベのメディウムです。

 

日本画(岩絵具)

日本画では膠液を使います。

また日本画に関する諸々の調合法は以下に纏めてありました。

 

アキーラ

アキーラはクサカベが売り出している新しく出てきた画材です。油彩とも併用できるテンペラに似た位置付けのようです。メディウムは売られているは売られているのですが、顔料から絵具を作ることを想定されているかはわかりません…今度試してみます。

 

そもそも顔料から絵の具を作る必要はある?

最近は品質の高いチューブ入り絵の具があるのだから、あまり作る利点はないのでは?という方もいるかもしれません。

しかし手作りで絵具を作るメリットはあります。メディウムの量を変えることで絵具の透明性や粘度を自在にコントロールできることです。これにより表現の幅を広げることができます。

また昔の画家達は絵具を自身で調合するというのは通常のことでした。その手作り絵具の不均一性が素晴らしい作品に繋がっているということも少なからず有るのではないかと私は考えています。不完全、それゆえにユニークな絵具ができるという点は自作することのメリットでもありデメリットでもあると思います。

 

まとめ

絵具の自作について調べたことを纏めてみました。

絵画教室の先生が、「デジタル全盛のこの時代にアナログな絵の良さは画面の物質性だ」という旨のことを仰ることがあります。絵具や下地の肌触り、それが絵画の唯一性に繋がっているのだいいます。そのため絵具も自身で調合することを生徒さんに勧めたりされることがあります。

そうやって絵具の調合を勧められることの裏には、調合する際にその絵具を肌で感じる、つまるところは自身の身体性の実感に繋がるからという含みもあるんじゃないかと私は勝手に思っています。ネットに繋がれてしまい、身体性がどんどん希薄になるこのご時世、子供に戻ったような感覚で絵具に触れるという体験はすごく有意義で大事なことなのかもしれません。

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