ボールペンデッサンのススメ

絵画教室に通っているのですが、絵の習作としてペンデッサン(正確にはボールペンデッサン)を手解きして頂きました。ちなみにアイキャッチはその時に描いた小石を食んだコンクリート片です。その際デッサンのエッセンスを色々学ぶことができたのでその備忘録を残しておきます。それとボールペンデッサンの効用についても書いていこうと思います。

というかなんでボールペンデッサン?

そもそもなんでボールペンデッサンやったの?という声が聞こえてきそうです。

ボールペンデッサンは失敗が許されないしハーフトーンは上手く出せないしと、制約が多いです。それでもボールペンデッサンをやる利点があるのか自分なりに考えて見ました。

面の流れを意識するようになる

ボールペンデッサンではハーフトーンを使えません(ボールペンを倒して線を掠れさせれば擬似的に描けますが)。なので、陰影だけで面を表すということが鉛筆より困難になります。そこでハッチングで面の流れを表現する必要があるのですが、この制約のお陰で面の流れを意識するようになります。

なのでボールペンデッサンを行なったあと鉛筆デッサンに戻ると面の流れを意識したデッサンを行うことができクオリティが上がるように感じます。ハーフトーンも使えますし、すごく自由度が上がったような感覚があるのです。ボールペンデッサンはポケモンのきょうせいギプスみたいなものですね。

 

失敗が許されないという制約が対象への理解を深める

ボールペンは描いてしまうと消せません(砂消しで一応消せることは消せますが、紙が痛みます)。後からコントラストや筆致を変更することも困難です。なので、まずは対象をしっかり観察して、知的にどう描いていくのかを整理する必要があります。

形や陰影はこう、表面の質感はこう、面の流れはこう、ここが最も暗いところで、ここが最も明るいところで、ここは一番近いところで、ここは一番遠いところ、という対象の色々な要素をしっかりと観察した上で描かないといけません。そして紙面にどう構成するかなども押さえておく必要があります。

この時に対象を観察する力と知的に対象物を理解し構築する力が養われます。失敗できないというプレッシャーも後押しして、サボりがちなこれらの作業をしっかり行う癖がつくように思います。

 

どこでも気軽に練習できる

旅にでるときはボールペン1本と紙を持っていけば絵を練習できます。鉛筆みたいに何本も持ち運ぶ必要がありません。1本で白から鉛筆より強い黒まで様々なコントラストを出すことが出来るのですから。

 

 

次からは実際のデッサンで得た知見を書いていきます。

形をとる

形を取るときは絶対に細部にフォーカスしないことです。まずは大きな図形でアウトラインを捉えます。そして大きな視点を維持しつつ補助線をたくさんひいて形を捉えていきます。ここは流石に鉛筆で行いました。

私はまだデッサンの目が養われていないのでここをサボるとすぐに形が崩れてしまいます…ここは忍耐強く行う必要がありそうです。

 

デッサンの進め方

初心者はまず一番近いor遠いまたは一番明るいor暗いところなどを決めてしまってデッサンを進めた方が良さそうです。

絵画は関係性で成り立つので、ある一箇所を決めてしまえばそれに連関して他の箇所の描き方の選択肢は狭まります。もし一番明るいところを暗くしてしまえば、その他のところはその一番明るいところより暗くしないといけなくなってします。すると画材の性質上それ以上は暗くできない…という箇所も出てきたりするわけです。

なので初めは一番〇〇なところを慎重に決めてから書き進めた方が失敗が少ないと思います。あとはそれを基準にデッサンを進めることができるので、散漫に描き進めるよりもデッサンのスピードも上がると思います。

 

距離に応じた表現

一番近いところは気持ちコントラストが強くなり、カメラの焦点があったようにディテールを細かくします。デッサンだと強い筆調でガリガリ描くのも効果的です。それだけで目の前にせり出してきたように見えます。

逆に遠いところや対象物の輪郭は空気に霞んだようにコントラストが弱くなり、ディテールが荒くなりぼやけます。空気に溶けるように描くとカッコいいです。

これを意識しだしてから大分空気感が出るようになりました。

なおデッサンとはいえ、見えたままでなくてもよいといいます。絵画的な嘘をつくことも時には必要だと先生はよくおっしゃっていました。本当はそうは見えなくてもコントラストや筆致を距離によって変えて距離を演出したりという誇張は、対象を画面にそれらしく作り上げるためにはやっていいといいます。

例えば以下は球を描いていますが、目に近いところをわざと筆致を強く誇張して描いてみました。明らかな嘘をついていますが、これによって一番近いところがせり出して見えてどの角度の目線なのかを説明することができます。

 

ハッチングの方向

物の面を表現したかったらハッチング(平行線)の方向を工夫することで表すことができます。直感的に面を撫でるように線を引けばいいのですが、それが分からないんだという方もいるかもしれません。そんな時は偉大な画家たちが描いた銅版画等のハッチングの方向などをみると勉強になるでしょう。以下はレンブラントの銅版画のハッチングの方向をアバウトですが一部追ったものです。

こうやって見てみるとハッチングの方向は一方向とは限らないこと(青線で示した交差した箇所など、他にも線が交差しているところは沢山あります)、面の流れだけでなく光の方向もハッチングで表していることが分かると思います。鉛筆デッサンでもこのハッチングの流れを意識すると面を描くことが出来るようになります。

それにしても面や光にそって線を引くだけでそこに面があるように見えたり光があるように見えたりするのは不思議ですね。人間の補完する力はすごいです…

 

まとめ

今回はボールペンデッサンについて学んだことを記事にしてみました。

自分もやってみるか!と思った方がいたら机に転がっているボールペンでデッサン、是非始めてみてください。

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