津軽三味線の律動

以前伊福部昭さん著の「音楽入門」について記事を書きました。

その後youtubeで、津軽三味線の演奏を見て気づくことがあったので記事にしておきます。

衝撃を受けた三味線動画

私は津軽三味線のニワカなのですが、この津軽三味線を世に知らしめた高橋竹山という人の演奏は素人目に見ても凄いことが伝わってきます。

下の動画も魅力的です。身体の軸がブレないこの立ち居振る舞いも相俟ってメッチャカッコいいですよね…

調べて分かったんですがこの「津軽じょんから節」ってのは譜面がないそうです。つまり個人個人のオリジナルな演奏になるのだそう。なので色々な人の「津軽じょんから節」を聴き比べるてみると、殆ど別の曲でびっくりしました。

上記のような素晴らしい三味線演奏を見ていて気づきがあったのでそれを書いていこうと思います。

 

三味線の律動

三味線は単音で鳴らすのが基本の楽器です。その上3本しかないため音高を大きく移動するような複雑な旋律を鳴らすようには構造上できていません。

そのため三味線による音楽は西洋音楽ではよしとされない「同音連打」を多用する音楽になります。そして同音に強弱をつけて変化をつけます。音形を変化させる時は、弦を爪弾くのに加えてギターでいうハンマリング(タタキ)やプリングオフ(ハジキ)、ポルタメント(スリ)などを駆使します。

また、リズムを作るために発音の際の撥で叩くパチッとした打音もコントロールすることになります。

三味線は上記のような特色があるため、自然とリズムを強調した旋律になります。西洋音楽のような流麗な旋律とは全く違った旋律です。

中でも津軽三味線の旋律は同音連打の強弱を大きくつけたり、同じ音形を反復しすることで、聴くものにトランス状態を呼び起こすような律動的な旋律を特徴としています。

 

日本人の私が魅力を感じる音楽

津軽三味線、民謡の強い抑揚の節回し、祭りなどでもよく聞かれるような太鼓のリズムは日本人であれば誰しもが明瞭に思い描くことができるものです。

多くの日本人にとって、興趣が湧くのはそのような律動なのかもしれないということに気づきました。伊福部昭さんが律動を重視しそこに日本の独自性を見出していたことが津軽三味線の動画を見ていて腑に落ちました。

少ない音を行き来する強弱を多様に変化させるバリエーションの律動、そして音が止んで静かになる時の余韻。その瞑想的ともいえる音楽にやっぱり多くの日本人はどこか惹かれてしまうのでしょう。

日本人である私が、涙が目に滲むほど本能を揺さぶられるのは、やはり律動的な音楽なのだと思います。そしてその律動の余韻が響き渡る静寂との対比の美しさに惹かれるのだな、と。

これまで流麗な旋律や複雑な和音、そしてノイズなどを高尚なものだと無思考に考えていました。しかし理性でそれらの要素を表面だけそれっぽく整えた曲を拵えても、泣きたくなるほど精神を高揚させられるようなものはこれまで出来なかったように思います。

なので今まで疎かにしていた律動をこれから意識して曲を作ってみたいと思いました。また曲作りに限らず音楽と接するときはもっと身体から湧き出す律動に耳を済ませるようにしてみようと思います。

 

まとめ

今回は「津軽三味線の律動」というテーマで記事を書きました。

私的な内容が多く申し訳ありませんが、自分にとっては重要な気づきだったので公開してみます。自分が作るものは音楽に限らず、殆ど頭でっかちで、身体性がなくつまらないと前々から思っていたのですが、その理由が見えた気がします。

なお余談ですが冒頭の動画の高橋竹山さんの境遇を聴くと凄まじく、その生き様は格好良すぎます。尺八の名手でもあるそう。興味がある方は調べて見てください。

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