漫画家 豊田徹也の紹介

彼の手で産み出されたその漫画は映画的とも評される漫画家、豊田徹也さんについて紹介記事を書いていきます。

 

豊田徹也さんについて

茨城出身の漫画家さんです。漫画は周囲に関係者がいない中、独学で磨いていったそうです。

寡作な作家さんで有名で、デビューは2003年なのに単行本として出されたのは、1巻完結の長編「アンダーカレント」、短編集「ゴーグル」と「珈琲時間」の3つという寡作っぷりです。

しかしその作品は驚くほど良質です。谷口ジローさんが誉め倒している作家さんだと聞けば、どういう作品を描いている方か察せられるかもしれませんね。

 

漫画らしい特殊な事象は起きない

一部の短編を除いて漫画らしい特殊な事象が起きることはありません。世界の命運を賭けて戦ったりしません。超能力を駆使したバトルシーンもありません。誂えたような敵もでてきません。記号的な特徴を備えたカワイイ女の子も登場しません。サバイバルしたりしません。豊田徹也さんの漫画では、ただただ淡々とドラマが進行する場合が多いです。

なのに長編「アンダーカレント」などは挟まれる謎の夢のような場面や、登場人物の微細な表情の変化がどんな意味を抱えているかなどが気になって、最後まで一気に読み進めてしまう吸引力があります。初めて読んだときは、劇的なことが起きなくてもこんなに面白い漫画が有り得るのかと衝撃を受けました。

 

市井の暮らしが魅力的に見える映画的魔法

映画で普通の何気ない場面がすごく魅力的に映ることってありませんか?例えば、普通に食事のシーンや顔を洗って歯を磨くシーン、身支度を整えてドアから出て行くシーン…そんな何の変哲もないシーンの筈なのにその部屋の眺めから役者の身体の所作、表情の微妙な遷移などが美しく見える。映画的魔法の力を感じますよね。

豊田徹也さんの漫画にはそんなマジックが働いているように思われてなりません。日常的な会話をする、日々の仕事を淡々とこなす、洗濯をする、散歩をする、飲み物を飲む、タバコを吸う、食事を作り食べる、そういう何気ない挙動が意味ありげで、趣深い。それらを眺めているだけで楽しい。豊田徹也さんの作品が映画的とよく言われる所以だと思います。

参照:講談社アフタヌーンKCDX 豊田徹也『ゴーグル』 116pより

 

短編集も魅力的

「アンダーカレント」のような濃厚な長編ドラマも素晴らしいですが、短編も楽しいです。

そして短編では結構実験的な作品もあります。ユーモア一辺倒のものや、少し不条理の匂いがするものなど。引き出しの多さが伺えます。

短編のドラマでも魅せてくれます。トラウマを抱えており喋らなくなった少女と無職の青年の交流を描く「ゴーグル」は名作だと思います、読んでいて少し涙してしまいました。

 

「アンダーカレント」の最後のカット

「アンダーカレント」を語るときによく俎上に上がるやつです。

私も例に漏れず「アンダーカレント」の最後のカットの意味が腑に落ちたとき、ほおーーーとため息をついてしました。

これだけでも豊田徹也さんの演出力は凄まじいといってよいかと思います。

 

豊田徹也さんの漫画

豊田徹也さんは寡作なので集めやすいですね。

「アンダーカレント」は必読だと思います。装丁もいいですね。

上でも書きましたが「ゴーグル」いいですよ、「ゴーグル」。一応短編集です。

こちらも短編集、「珈琲時間」は豊田徹也さんの色々な顔を楽しめます。

 

まとめ

今回は漫画家豊田徹也さんについて紹介しました。映画の淡々としたヒューマンドラマなどが好きな人にはお勧めできる作家さんです。

この記事を書いていて気づきましたが、自分が気にいる漫画の特徴としてある種の静けさが伴う漫画であることが多いですね。

少年漫画みたいに熱くてカッコいい、カワイイものも悪くないのですが、そのやたら過剰な物語に辟易とする場合もあるからかもしれません。

return-top