漫画家 市川春子の紹介

すごく好きな漫画家の一人に市川春子さんという方がいます。短編集を初めて読んだ時から詩情に満ちたその作品世界の虜になってしまいました。

今回はそんな市川春子さんとその作品についてご紹介しようと思います。

 

市川春子さんについて

北海道在住の女性漫画家さんです。これまで2つの短編集と現在連載中の「宝石の国」が8巻まで出版されています。『宝石の国』はアニメ化もされました。

 

Wikipediaには2006年、月刊アフタヌーン(講談社)誌にて「虫と歌」でデビュー、これが初めてちゃんと描いた漫画で、これがダメなら漫画家を諦めるつもりだったとあります。ほんとに賞をとってくれて良かったです…

なお、市川春子さんがインタビューなどで挙げている人物や作品をみてみると、とてもユニークな漫画家さんであることが伺えると思います。

「ハイスクール!奇面組」「こいつら100%伝説」「萩尾望都」「風の谷のナウシカ」「AKIRA」「カフカ」「澁澤龍彦」「スターウォーズ」「ロボコップ」「エドガー・ライト」「エンダーのゲーム」「高野文子」「杉浦日向子」「横山裕一」…etc。

コメディ作品からSF作品、不条理文学、博物趣味、ネオ漫画など多種多様なものがバックボーンにあることが伺えますね。

以下のインタビュー記事では市川春子さんについて色々知ることができます。

 

作風について

想像力豊かで静かな物語

物語上の特徴としては、主要な人物に人外なものが必ずといってよい程出現します。貝殻や粘菌、月から来たエイリアン、植物、雷、彗星の屑、虫、宝石…。それらのもの達は人の形をもって描かれ、その繊細な心の機微が詩情豊かに描かれます。

市川春子さんの博物趣味からくる想像力に驚かされますね。澁澤龍彦の影響でしょうか…

そのようなユニークな題材を選んでいるのに過剰な物語にならないところが市川春子さんの凄いところだと思います。全体を通して不思議な静けさを感じる物語群です。

 

線描と構図の美しさ

画風についてですが、写実的な絵の上手さやデフォルメの巧みさで押す、というよりも線と構図の美しさが目を引きます。漫画を読むときに線や構図を意識するようになったのは市川春子さんの作品がキッカケです。黒ベタがこんなにカッコいいなんて。

参照:講談社アフタヌーンKC 市川春子『25時のバカンス』 45pより

 

セリフ選びのセンス

セリフ選びにセンスを感じます。節約されていて適度な距離感があってシャープな印象です。

漫画とかだと特にセリフまでもデフォルメ化されて、感傷的な場面は特にセリフが臭くなりがちだと思うのですが、市川春子さんの作品はそんなこともないように思います。そのベタベタしすぎないセリフ選びが個人的にすごくツボです。

 

仏教的なフラットな感覚

氏の作品ではシリアスな事象もコミカルに描かれているところがあります。そのおかげで物語が変にシリアス一辺倒に傾いたりすることがありません。

この中庸をゆくフラットな感覚、そこからなんとなく仏教臭が漂っている気がします。「宝石の国」といい氏の作品には仏教的なエッセンスが少なからず含まれているように感じます。

 

一読しただけでは理解できない

私が市川春子さんの作品に深く惹きつけられる要因になっているのが、「一読しただけでは理解できない」場面があるということです。

それは漫画としてあまり宜しくないのでは…という声が聞こえてきそうです。しかしこの点は私にとって作品の長所となりうる点です。

私の良書の基準の一つとして「再読に耐えうること」挙げられます。これまでの経験上、義務感にも似た何かに駆られて何度も読み返してしまう本は、私の価値基準を揺さぶり、美意識を書き換え、血と肉になるようなものであることが多かったです。

その点市川春子さんの作品は何故かふとしたタイミングに読み返したくなり、読み返す度に発見があります。

カット同士はこのようなテンポで繋がってたんだとか、ここのカットの意味合いは作品全体を把握した上で再読しないと見えてこない部分だな、とか。何故か見落としていた美しいコマを見つけたり。

気づいていなかった部分を発見するたびに、市川春子さんの行き届いた美意識に驚かされ、影響を受けています。

 

市川春子さんの作品

作品はまだそんなに出ていないので、今が集め時です(笑)。短編集は特にお勧めします。

虫と歌

アフタヌーンから出ている短編作品集Iです。

25時のバカンス

短編作品集IIです。

宝石の国1〜8巻

4巻でカードゲーム、6巻でバッグ、7巻でイラスト集など、特装版で付録のついた巻もあるみたいなので探してみると吉です。

ちなみに9巻は2018年10月23日発売のようです。

 

まとめ

今回は漫画家の市川春子さんとその作品について紹介しました。

静かで滋味深い作品を求めるなら市川春子さんは打って付けです。興味があれば是非ご一読を!

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